資本コスト意識に乏しい経営陣が放置する割安な株価のバリュエーション
直近5年間の蝶理の株価のバリュエーションをPBRで振り返ると、一時的に1倍を上回る場面はあっても、長期間1倍を割れる水準で推移しています。
PBRが1倍を割っているということは、効率的に資本を使って稼ぐ力(ROE)が株主の求める期待リターン(株主資本コスト)を下回っているということです(※)。 ※ROE(自己資本利益率)が株主資本コストよりも低くなるほど、PBRは1倍を下回るというエクイティスプレッドに基づいた考え方を前提としています。
※※ROIC(投下資本利益率)が加重平均資本コストよりも低くなるほど、企業価値は投下資本よりも小さくなるという考え方を前提としています。
PBRが1倍を割っているということは、効率的に資本を使って稼ぐ力(ROE)が株主の求める期待リターン(株主資本コスト)を下回っているということです(※)。 ※ROE(自己資本利益率)が株主資本コストよりも低くなるほど、PBRは1倍を下回るというエクイティスプレッドに基づいた考え方を前提としています。
蝶理の過去5年間のPBRの推移

(データ出所:QUICK ASTRA MANAGER、2019年5月23日末現在)
また、企業価値(EV:Enterprise Value)で見ても蝶理は割安となっています。 EV/EBITDAについて、卸売業(東証一部の商社)及び東証一部単純平均と比較すると、以下の通り、蝶理のバリュエーションが最も低くなっています。 投下資本を効率的に使って稼ぐ力(ROIC)が、企業に求められるリターン(加重平均資本コスト。以下「WACC」といいます。)を、下回っているということです(※※)。※※ROIC(投下資本利益率)が加重平均資本コストよりも低くなるほど、企業価値は投下資本よりも小さくなるという考え方を前提としています。
EV/EBITDAの比較

(データ出所:QUICK ASTRA MANAGER、会社予想の営業利益及び直近決算の財務情報等を使用、絶対値が100を超える銘柄を除く、EV/EBITDAの単純平均値を使用、2019年5月23日現在)
これらのバリュエーションが低く放置されている要因は、蝶理の資本コストに対する意識の低さであると考えられます。
上場企業の使命は、株主価値を向上させることであり、そのために資本コストよりも高い資本効率性を目指す必要があります。
上場企業は資本効率性目標だけでなく、自社の資本コストの水準とそれをどのように計算しているか情報発信していくことが、株主との対話の実効性改善を通じた株主価値向上に繋がります。
現状 | 経営に対する評価 | 改善策 | |
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PBRが長期間1倍を下回っている (ROE<株主資本コスト) EV/EBITDAが極端に低い (ROIC<加重平均資本コスト) |
資本の効率性が低下する状態が継続している 投下資本を有効利用せず、効率性の低い状態が放置されている |
まず、経営陣が、資本効率性が低いことを認識するべき。 資本コストを前提とした対話を株主と行い、株主価値向上に真剣に取り組むべき。 |